■ 茅葺の屋根
いつの間にか秋が終わろうとしている(図1)。また寒い冬がやってくる。 先日、我が故郷の岐阜県の特集で、白川村について紹介されていた。その中で、特徴のある茅葺屋根の葺き替えが20から40年ごとに村中の絆で行われている事が報道された(図2)。 葺き替えのための茅(萱とも書く)は、近くの茅場で育てていると説明され、その情景が映し出された。それを見てびっくりした。ススキらしい草が茂っていた。何気なく使っていた茅葺とはいったいどんな植物なのかを調べた。茅とは、イネ科のススキ、ヨシ、チガヤなどの植物で、屋根を葺く丈の高い植物の総称であることが分かった。イネやムギの茎は水を吸ってしまうのに対し、茅の茎には油成分があるため、水をはじき、耐水性に優れているため屋根材として適しているとの事であった。知らないでいた自分が恥ずかしい。 そこで、今回は茅の代表的な植物であるススキの葉の表面を観察することにした。ススキの茎は、ちょうどネギのように、葉が包まってできている。以前にイネの葉の表面を観察したが、それと比較して観察した。
図3はススキの葉の内面で、葉の上面にあたる、図4は外面の光学顕微鏡像である。外面は葉の裏面にあたり、茎部では外面になる。 この試料をSEM観察した結果を次に示す。 ・葉の内面 葉の内面、すなわち葉の上表面を順次拡大してSEM観察した結果を図5〜12に示す。
図5でわかるように、約200μm間隔の桟状の構造があり、その上に不規則な網状の構造が覆っている事が分かった。網の表面にはガラス質と思われる微粉が付着している。この網状の組織が葉の組織を束ね、強度を強くする働きをしているのではないか。 ・葉の外面 葉の外面というのは分かりにくいが、葉だけを見ると裏側になり、茎に巻き付いている部分では外側、つまり茎の表面に当たる。その表面像を順次拡大して撮影した結果を図13〜20に示す。図21〜24は別の視野である。
図16や図21では、イネの表面で観察したような周期的な構造が認められる。またその表面には細かい破片のようなもので覆われている。たぶんガラス質であろう。イネの表面で観察した規則正しい8の字構造は認められなかった。図21〜24で示す構造は、多分気孔であろう。その表面にはクリームを絞り出したような構造が取り巻いている。これも多分ガラス質であろう。 詳細については、後日、熱を加えたりして実験をしよう。 -完- | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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