■映画「日本沈没」に出演in東宝スタジオ スマトラ沖では大地震や津波で多くの犠牲者を出し、日本ではこのところの豪雨で、河川の決壊や土砂崩れなど、悲惨なニュースが伝えられている。2006年7月15日、映画「日本沈没」のリメイク版が公開され、大きな反響を呼んでいる。 我がTiny SEMが映画「日本沈没」出演しているのです。そのお話を。 2005年夏、この映画の装飾を担当された高畠氏からテクネックス工房に、小型SEMを小道具として使いたいので協力をという要請があり、社長さんに頼まれて、文ちゃんの装置をお貸しすることにした。 9月11日、高畠さんに迎えに来ていただき、愛機を成城にある東宝スタジオに運んだ。昭和7年に建てられたという歴史の深い大きな第一ステージの中央に撮影セットが作られていた。セットは、豊川悦司さんが演ずる田所教授が日本海溝の独自調査をするための深海掘削船《ちきゅう》内の研究室である。多分、深海から採取した岩石を電子顕微鏡で調べたという設定であろう。許可を得て、愛機Tiny SEMをセットした様子を撮影した。
中央の奥に、田所教授が一年以内に日本が沈没すると算出した黒板が見える。そこに行く右手の実験台の上にあるのが愛機である。14日、撮影に立ち会った。セットのまわりには、衣装、映像、音響など各種のスタッフが取り囲んでいた。私は装飾スタッフの撮影モニターを見ながら見学させてもらった。その日は、田所教授が各種データーから結論を出すシーンであった。何度も演技が繰り返され、カメラアングルを変えて何度も撮影された。 セット内は狭い場所なので、愛機が心配であったが、撮影が終わった17日、無事戻ってきた。 2006年7月15日、とうとう「日本沈没」が公開された。17日早朝、高畠さんが送ってくださった招待券を持って映画を見に行った。愛機が、映画の中でどのように写されているかが楽しみでもあり、またカットされたのではと心配もした。 田所教授の研究室が、窓越しに写された。あった、愛機が写っていた。そして、黒板にカメラが移動するときに、右手に愛機が。もっと感激したのは、文部科学大臣を演ずる大地真央さんが、日本に残った人を一人でも助ける方法がないかと田所教授を訪ねて懇願する場面では、愛機の電源ケースに手を付いて話した。こんなことで感激していたのは、映画館の中で、私一人であったろう。 映画全体としては、最新の科学装備や、草薙さんと柴咲さんの愛の演技、崩壊されるシーンと音響など、迫力はすばらしいし、考えさせられるところも多かった。是非、皆さんも鑑賞される事をお勧めします。そのときには、前半で登場する愛機も、お見逃し無く。 タイニーカフェテラスの火山研究 さて日本沈没出演にあやかって、わがタイニーカフェテラスでも火山石を観察したので紹介する。 2005年5月7日、友人の車で北軽井沢にキャンプに出かけた。途中、鬼押しハイウエーを走り、浅間山のふもとにある東京大学地震研究所浅間火山観察所に立ち寄った。ここは、火口から4kmの地点で、これ以上は立ち入り禁止になっている。そこから見た浅間山を図1に示す。山頂からは不気味な噴煙が立ち込めていた。沢部にまだ雪が残っているのが不思議だった。足元を見ると、白と黒の石が敷き詰めたようにあった。2004年9月の大噴火の際に降って来た石ではないか。持ってみると重さが違うのに驚いた。白い石は普通の石より随分軽く感じた。他方黒い石は重い。これが火山レキかなと思い、良くないことだが、記念にと小指ほどの黒白の小石を持ち帰った(図3)。
日本沈没の映画に関係するようになり、この小石を思い出し、旅の記念物を並べた棚から取り出し、田所教授の気持ちでSEM観察を試みた。 まず、小石の端をたたいて数ミリの破片を作った。その光学顕微鏡写真を次に示す。
図4の白い石は、実際には薄い黄土色をし、図5の黒い石は、実際には濃い灰色をしていた。この試料に金属コーティングをしてTiny SEMで観察した。
白の軽い石は、やはり小穴が多い軽石状になっていた。岩石というよりはガラス質のように見える。
黒い石は、多孔質ではあるが、白い石ほどではない。灰色をして重いのは、軽元素以外の元素も含まれているのであろうか。元素分析もしてみたい。ガラス質というよりは高温で焼けただれたように見える。 −完− | ||||||||||||||||||
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